【書評】『ナポレオンに背いた「黒い将軍」』トム・リース著、高里ひろ訳 (1/2ページ)

2015.7.18 14:50

『ナポレオンに背いた「黒い将軍」忘れられた英雄アレックス・デュマ』トム・リース著、高里ひろ訳(白水社・3600円+税)

『ナポレオンに背いた「黒い将軍」忘れられた英雄アレックス・デュマ』トム・リース著、高里ひろ訳(白水社・3600円+税)【拡大】

 □『ナポレオンに背いた「黒い将軍」 忘れられた英雄アレックス・デュマ』

 ■変転の人生に報いたのは

 1789年7月のパリの民衆によるバスティーユ監獄の占拠から、93年1月の国王ルイ16世の処刑へと続いたフランス革命。この最中に採択された人間宣言に基づいて、フランスはカリブ海の植民地サン=ドマング(現ハイチ)の黒人奴隷を解放する。

 本書の主人公アレックス・デュマは、1762年、サン=ドマングで生まれた。父親はノルマンディー地方の貧乏侯爵の嫡男、母親は美貌の女奴隷。76年、彼が14歳の時、フランスに入国する。船舶積荷目録には、「奴隷」と記されていた。だが、父親がすでに彼を認知していたために、上陸した途端、一変して侯爵の子息としての生活を享受することになった。

 87年、彼は父親の名前と爵位を破棄して一兵卒として陸軍に入隊する。兵籍書類には母親の名字「デュマ」と記入した。92年、少佐となり、翌年には少将、さらに中将に任じられる。矢継ぎ早に昇進したのは、革命期に、貴族の将校が国外へ大量逃亡したためであった。

息子は、見事なやり方で父親の仇を討った

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