【書評】『盗作の言語学 表現のオリジナリティーを考える』今野真二著 (2/2ページ)

2015.9.13 15:49

(集英社新書・720円+税)

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 作家にとって、表現の新しさや唯一無二であるということは、とても大切なことである。しかしオリジン=起源から始まる、その膨大に積み重なった層の上にこうして私たちがいるのであって、完全なるオリジナリティーを追い求めることは不可能に近いだろう。とはいうものの、人類が突然変異の中で進化をとげたように、オリジナリティーというものは創作の過程で突発的、あるいは偶発的に生まれてくる可能性がある。だからこそ作家たちは今日も表現し続けていくのだ。

 五輪エンブレムの一件も気になるところだが、本書は盗作か否かを論じられた過去の文学作品や俳句などの事例を挙げながら、表現行為における人間の心性というものに多角的に迫っていく。表現することの意味や背景について考えを深めさせてくれた。(集英社新書・720円+税)

 評・西野壮平(写真家)

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