【書評】『安全という幻想 エイズ騒動から学ぶ』郡司篤晃著 (1/2ページ)

2015.9.12 10:45

(聖学院大学出版会・2000円+税)

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 ■糾弾された当事者の思い

 国民の多くは今も「薬害エイズ事件」を誤解したままだろう。被害から約10年も後の告発や裁判、報道は必ずしも真相を突いたとは言えず、きちんとした検証もないままだからだ。この本からは、当事者の強い思いとともに、医療や薬害事件の複雑さ、難しさが浮き彫りになってくる。

 1982年から84年、著者は厚生省(当時)生物製剤課長を務めた。米国のエイズ発生で、日本の血友病患者が使う輸入血液製剤からの感染を危惧、安部英・帝京大教授を班長とするエイズ研究班を組織した。

 その後、不幸にも多数の血友病患者がエイズに感染した。その薬害エイズ事件の責任者として糾弾されたのが安部教授と著者だった。

 著者への誤解の元は94年放映のNHKテレビ。研究班発足直前、米社がエイズ患者の血液が入った血液製剤を回収した。取材に「記憶がない」と回答したところ、番組は著者が会議に報告しなかったと断定し、「知っておれば自分の考えは変わった」という班員の声とともに放映した。その後、録音テープが出て、会議で報告していたことがわかったが訂正はなかった。

「忘れる前に学ぶことが必要」との著者の言葉は重い

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