藤沢の装飾金属を専門にしている「さいとう工房」の一角。鉄が鉄を加工する現場。鉄の工匠たちは独特の哲学と技能がある。この写真は作品の一部。藤本晴美さんに紹介された(小森康仁さん撮影、松岡正剛事務所提供)【拡大】
【KEY BOOK】「エッフェル塔試論」(松浦寿輝著/筑摩書房、3990円、在庫なし)
出版当時、たいへん話題になった本。エッフェル塔にまつわるありとあらゆる出来事・人物・思想を縦横無尽に渉猟して、鉄のエッフェル塔の完成が現代社会にもたらしたのは、既存の「表象」に代わる「イメージの力」だったということを書いている。それにしてもエクトル・ギマールやギュスターブ・エッフェルの「鉄」に対する憧憬と自信は凄かった。「鉄はフォルムだ」と見抜いたのだ。先駆した建築家ヴィオレ・ル・デュクとともに称えたい。