ゴートクジ本楼の書棚に貼られた千社札と、弓岡勝美のコレクションを野島寿三郎らが構成したピエ・ブックスの『千社札』。千社札はうまく貼ると、どんなところも賑やかに、また色っぽくしていくものだ(小森康仁さん撮影、松岡正剛事務所提供)【拡大】
【KEY BOOK】「千社札」(弓岡勝美コレクション/ピエ・ブックス、4104円、在庫なし)
千社札の概略については上記に案内した通りだが、あらためて強調しておきたいのは、この札は「納める札」から「交わる札」へ、「神仏の前の札」から「人と人をつなぐ札」へ変化していったということだ。納札は神仏への効能だから初期の納札は紙札になっても墨一色だった。それが交換会を通していくうちにしだいに多色刷りになり、さまざまな意匠をほどこすようになった。名刺に色がついたり、派手になるのと同じだ。本書にはその千差万別がいっぱいコレクションされている。しかし、それでも千社札にはどこか大事なところへ貼っておくという気持ちが宿っている。ぼくも周囲から千社札を贈られることがあるが、いつもどこへ貼ろうかと迷う。