ゴートクジ本楼の書棚に貼られた千社札と、弓岡勝美のコレクションを野島寿三郎らが構成したピエ・ブックスの『千社札』。千社札はうまく貼ると、どんなところも賑やかに、また色っぽくしていくものだ(小森康仁さん撮影、松岡正剛事務所提供)【拡大】
【KEY BOOK】「知っておきたい日本の札所めぐり歩き方・楽しみ方徹底ガイドブック」(八木透著/メイツ出版、1728円)
札所とは巡礼者が参拝のしるしとして、寺社の札を受け取ったり、自分の信仰の証しの札を納めたりするところのことをいう。四国八十八ケ所、西国三十三ケ所、秩父霊場などが有名だが、日本各地にさまざまな巡礼型の札所がしつらえられてきた。本書はそのガイドブック。札所を巡ることを遍路とも言ったのは、信仰者たちが観音の補陀落(ほだらく)浄土などの遠い彼方をめざして歩いたからである。この彼方のことを辺地(へち)とも言った。この札所で納札をする習わしが、やがて千社札などの流行になったことについては、すでに紹介した。今日の産業社会では、札所は異業種交流や政治パーティなどの名刺交換会となる。有り難みがあるのか、どうか。
■まつおか・せいごう 編集工学研究所所長・イシス編集学校校長。80年代、編集工学を提唱。以降、情報文化と情報技術をつなぐ研究開発プロジェクトをリードする一方、日本文化研究の第一人者として私塾を多数開催。おもな著書に『松岡正剛千夜千冊(全7巻)』ほか多数。「松岡正剛千夜千冊」(http://1000ya.isis.ne.jp/)