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井上鑑(あきら)という「音の庭」へ このミュージシャンにこそ、日本の音楽の将来を託したい 松岡正剛 (4/5ページ)

2014.6.17 15:35

函館のトラピスト修道院の庭で、自著『僕の音、僕の庭』を手にする井上鑑。この静かな風情の奥に、実に自在な音楽力とすこぶるラディカルな思考が秘められている=北海道・函館市(小森康仁さん撮影、松岡正剛事務所提供)

函館のトラピスト修道院の庭で、自著『僕の音、僕の庭』を手にする井上鑑。この静かな風情の奥に、実に自在な音楽力とすこぶるラディカルな思考が秘められている=北海道・函館市(小森康仁さん撮影、松岡正剛事務所提供)【拡大】

  • 【BOOKWARE】編集工学研究所所長、イシス編集学校校長の松岡正剛さん=9月14日、東京都千代田区の「丸善丸の内店内の松丸本舗」(大山実撮影)
  • 【BOOKWARE_松岡正剛】BOOK_MEETS_BOOK

 【KEY BOOK】「僕の音、僕の庭」(井上鑑著/筑摩書房、3024円)

 この10年間の音楽関係の本でピカ一である。少なくとも一番気持ちがいい本だった。第1章では名アレンジャーとしての秘訣が、寺尾聡の『ルビーの指輪』、大滝詠一の『君は天然色』、福山雅治の『ひまわり』を例に語られる。こんな秘訣、いままで誰も説明してこなかった。ちなみに福山のアレンジはほとんどが井上だ。第2章は音楽づくりのプロセスが、ミーティングの仕方、スタジオ使い、技術と技法との付き合い方などの、これまで見落とされてきた景色を通して浮かび上がる。第3章からいよいよ井上の音楽的な生い立ちが、父君や師匠筋の三善晃や八村義夫をへて、ソロデビューしていく様子までいきいきと描写される。井上が数百曲のCF音楽を手掛けた才能の秘密もよくわかる。第4章は圧巻だ。音と世界と友人を通して、いったいどんな価値観を磨いてきたのか、その骨法がさまざまな交流のスケッチを交えて照射されている。ブリティッシュな音のガーデニング感覚のルーツも見えてきて、必読だ。最後に、ぼくが最も敬意を払ってきた井上流の「音楽と言語の関係」が、格別の襞々と柔らかい膜を煌(きら)めかせて綴られる。さあ、諸君、デビューアルバム『予言者の夢』を聴き給え!(編集工学研究所所長・イシス編集学校校長 松岡正剛/SANKEI EXPRESS

編集工学研究所所長・イシス編集学校校長 松岡正剛略歴

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