【BOOKWARE】
水虎、たたりもっけ、佐伯の人魚、道通さま、さとり、川猿、倉ぼっこ、お菊虫、くだん、沼御前、枕返し、大かむろ、片輪車…。水木しげるの『妖怪事典』に登場する名うての妖怪たちだ。むろんこの程度は、ごくごく一部だ。
「たたりもっけ」は死んだ赤ん坊の口から出てフクロウに住み着く。「道通さま」は人に祟(たた)る蛇神で、岡山県笠岡には道通神社がちゃんとある。「倉ぼっこ」は蔵を守る妖怪、「大かむろ」は狸が化けたデカ顔のことをいう。
日本中どこにも妖怪がいる。飛騨や美濃にいる「さとり」は関東では「おもい」と呼ばれた。木を伐っているとぬっと現れるので、ぞっとするほど怖い。すると「おもい」が「いまお前はぞっとするほど怖いと思ったな」と言う。男が慌ててこれじゃ取って食われるぞと思うと、「いまお前は取って食われると感じたな」と言う。ついに何も言えなくなると「逃げるだけ逃げようと思ったろう」と言ってくる。人の心を読む妖怪なのだ。