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ぼくの長い髪には死んだ姉さんがいる 土方巽の暗黒舞踏は、言葉のダンスにも裏打ちされていた 松岡正剛 (1/5ページ)

2014.11.10 17:05

【BOOKWARE】編集工学研究所所長、イシス編集学校校長の松岡正剛さん=9月14日、東京都千代田区の「丸善丸の内店内の松丸本舗」(大山実撮影)

【BOOKWARE】編集工学研究所所長、イシス編集学校校長の松岡正剛さん=9月14日、東京都千代田区の「丸善丸の内店内の松丸本舗」(大山実撮影)【拡大】

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 【BOOKWARE】

 秋田生まれの土方巽(ひじかた・たつみ)が日本の踊りと世界のダンスを底抜けするほど変えた。「暗黒舞踏」とか「東北歌舞伎」と銘打たれたけれど、そこには当時の三島由紀夫や澁澤龍彦らの知性をまるごと痺れさせる言葉によるイメージが、驚くべき言い回しで彫琢(ちょうたく)されていた。

 以下には、土方自身が書いた文章や喋った言葉だけで、この前代未聞の異能ダンサーの一端を紹介したい。諸君、自分と自分の仕事を語るときは、こうでなくてはなるまい!

 「私は埃と手拭いの臭いのする母親の肩にさわり、もじゃもじゃの眉を指でいじってヤカンの音を聞いていた」。「私は魚の目玉に指を通したり、ゴムの鳩を抱いた少女に言い寄ったりして、それからそれへと生きてきたが、いつも実のところ脈をとられているような気分で発育してきたのだ」。

 「さあ、早く嘘をつけと言われているような私の体に、漆の汁がついていたわけですね」。「五体が満足でありながら、しかも、不具者でありたい、いっそのこと俺は不具者に生まれついた方がよかったのだと、という願いを持つようになりますと、ようやく舞踏の第一歩が始まります」。

自分と自分の仕事を語るとき…

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