【KEY BOOK】「土方巽 絶後の身体」(稲田奈緒美著/NHK出版、3780円)
土方巽については、あまりにも多くの断片的な証言や感想が散らかっていて、つながらない。まるで土方がそれらを鋏でちょきちょき切っているようなのだ。だからそういう誘蛾的走馬灯の中に誘導されながら断片的土方を感じるしかないといえばそうなのだが、1986年に57歳で急逝してすでに30年近くになった今、やはりその全貌を少しはつなげて感じるべきでもある。本書はその渇望を満たすには一番の一冊。たいへんよく調べた熱烈評伝になっている。(編集工学研究所所長・イシス編集学校校長 松岡正剛/SANKEI EXPRESS)
■まつおか・せいごう 編集工学研究所所長・イシス編集学校校長。80年代、編集工学を提唱。以降、情報文化と情報技術をつなぐ研究開発プロジェクトをリードする一方、日本文化研究の第一人者として私塾を多数開催。おもな著書に『松岡正剛千夜千冊(全7巻)』ほか多数。「松岡正剛千夜千冊」(http://1000ya.isis.ne.jp/)