当時私はソプラノリコーダーが、それなりに得意だった…みたいです。
私よりもリコーダーがうまい子はいたはずですが、たぶん彼、彼女らは、もっとわかりやすい王道の賞をもらったのでしょう。でも、何の取りえもない大勢の中に埋没していた私にも認められるところがあったのだと、当時その小さな賞状をとてもうれしく感じました。
そして、音楽が好きになりました。
スクーターとともに
音楽に関連する本は山のようにありますが、世界的に活躍されている日本の指揮者、小澤征爾さんが書かれた自伝的エッセー『ボクの音楽武者修行』は、音楽に関する専門知識を必要とせず、読みやすさという点においては傑出している作品だと思います。もちろん、読みやすいだけが本書の魅力ではなく、若き日の小澤さんが音楽を志し、スクーターとともに貨物船に乗り込み、単身ヨーロッパに旅立つという出だしからして、若さならではの熱量にあふれていて、読んでいてわくわくします。青春期の人間のみが成し得る冒険譚、といった感さえ漂います。
ヨーロッパ(マルセイユ港)に着いてからの、スクーターでの移動の様子も、実に自由で大らかです。