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男もすなる日記を女もしてみむとてするなり 紀貫之のトランスジェンダー的「日本語計画」 松岡正剛 (3/5ページ)

2014.12.25 17:45

【BOOKWARE】編集工学研究所所長、イシス編集学校校長の松岡正剛さん=9月14日、東京都千代田区の「丸善丸の内店内の松丸本舗」(大山実撮影)

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 【KEY BOOK】紀貫之「土佐日記」(三谷栄一訳注/角川ソフィア文庫、432円)

 貫之が4年間の土佐守の任務を終えて都に帰るまでの55日間の日記。鳴門海峡を渡り、大坂の和泉・枚方・高槻・難波をへて石清水神宮から山崎越えをして洛中に入るまで、淡々と綴っている。むろん当時の風物を記録している点でも貴重な文章なのだが、これが仮名で書かれていること、女ぶりの日記になっていることこそが、日本表現史上においても、日本文化史の全体からしても画期的だった。

 奈良朝以来、そもそも日記は男が付けるもので、しかもそのすべてが漢文だったのに、それを貫之が完全にひっくりかえしたのだ。この女装の仮名の文章が、のちの平安期の女房たちの日記文学の一斉開花を促した。

 『土佐日記』はまた歌日記でもあった。その歌をよく読むと、貫之が鏡像効果を意識していたことも伝わってくる。海と空のイメージを、「ひさかたの月に生ひたる桂河 底なる影もかはらざりけり」「ちはやぶる神の心を荒るる海に鏡を入れてかつ見つるかな」といったふうに、対比的鏡像的に詠んでいるのだ。これは男女を入れ替えた仮名日記が、実はそもそも鏡像的であることを暗示させたものでもあったろう。

貫之なくしては日本文化の特色は語れない

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