全企業が、従業員給与「100」に対し、どれだけ配当に回しているかを年度ごとにみると、1970年代後半から2001年度までは「3」前後(資本金10億円以上の大企業は「7」台)だった。この比率は02年度からは徐々に上昇し、03年度は「11.5」(大企業「32」)と飛躍的に高まった(グラフ参照)。小泉改革路線は伝統的な従業員中心の日本型資本主義を株主資本主義に転換させたのだ。従業員給与を可能な限り抑制して利益を捻出し、株主配当に回すグローバル標準の経営への転換である。株主資本主義は株式を大量保有する大企業や金融機関に有利で中小・零細企業には不利、富裕層を富ませ、年金世代や次世代の子弟を育てる勤労者世代を圧迫する。日本は格差促進型経済の最中にあるようだ。(産経新聞特別記者・編集委員 田村秀男/SANKEI EXPRESS)