どういう本かというと題にあるとおり、石牟礼道子の『苦海浄土』を同態復讐法を通じて論じた本で、では同態復讐法とはなにかというと、マア、簡単に言うと、殴られたら殴り返す、俗に言う、目には目を歯には歯を、という奴で、マア、当今はあまり流行らない法の概念である。それは先史時代の概念であり、また、それは母権論という考え方に通じ、その母権論が父権論に敗北して歴史は始まったのは神話や言語に明確に看て取れるのだけれども、その結果、この世を生んだそもそもの根本が段々に狂って、その狂いの現れによって、この先には母権論への戻りがあるはずなのだけれども、実は、それを突き詰めていくと、実はそんな母権論さらに同態復讐法のさらに前の状態があって、それは、同態復讐法を超越する考えで、その歴史の前と後にあり、また現れる状態、徴候が、『苦海浄土』に著されて、水俣の問題は母権の戦いなのである、みたいな本である。