■まちだ・こう 1962年、大阪府生まれ。81年、町田町蔵名義でパンクバンド「INU」のボーカリストとしてデビュー。96年には町田康として処女小説『くっすん大黒』(文芸春秋)で文壇デビュー。2000年に『きれぎれ』(文芸春秋)で第123回芥川賞受賞。近刊に『残響 中原中也の詩によせる言葉』(講談社文芸文庫)。
■「『苦海浄土』論 同態復讐法の彼方」(臼井隆一郎著) 著者はヨーロッパ文化論などが専門の東京大学名誉教授。本書では『苦海浄土』の「宗教以前の世界」をスイスの文化人類学者・バッハオーフェンの先史母権社会と結びつけて論じる。藤原書店、3456円。