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「おもろ」も当事者だと「ぞっとする」 町田康 (3/3ページ)

2015.4.13 17:10

(町田康さん撮影)

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  • 「くだもののにおいのする日」(松井啓子著/ゆめある舎、2400円+税、提供写真)
  • 「なんでもない所をどう表現するかに、作家の蓄積した技術が試されると思う」と話す、作家の町田康さん=7月26日、東京都港区(瀧誠四郎撮影)

 言葉で「起こす」と

 なぜそうなるかというと、言葉というものがそもそもそういう性質を有しているからで、言葉が言葉だけで言葉と事故る、ということがそもそもありえないからである。

 松井啓子の詩集『くだもののにおいのする日』は、交通事故ではないが、そうした、当事者しか感じられない、ぞっとする、血の気が引くような感じ、と、おほほ、おもろ。が同時同所で起こっていて奇蹟のように美しい風景が言葉のなかに内包されている。

 一行ごとに、えっ、と立ち止まるところがあって、言葉に前後左右奥行きがあって、その奥行きのなかを自分の笠の台がどこまでもどこまで、けけけ、と笑いながら飛んでいって視える景色が美しすぎて、読み狂人、この詩集からいつまでも抜け出せないで、グシャグシャになっちまった。うくく。(元パンクロッカーの作家 町田康、写真も/SANKEI EXPRESS

 ■まちだ・こう 1962年、大阪府生まれ。81年、町田町蔵名義でパンクバンド「INU」のボーカリストとしてデビュー。96年には町田康として処女小説『くっすん大黒』(文芸春秋)で文壇デビュー。2000年に『きれぎれ』(文芸春秋)で第123回芥川賞受賞。近刊に『残響 中原中也の詩によせる言葉』(講談社文芸文庫)。

「くだもののにおいのする日」(松井啓子著/ゆめある舎、2400円+税)

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