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「脱ぐ」ことは簡単ではない 町田康 (1/4ページ)

2015.3.10 18:05

(町田康さん撮影)

(町田康さん撮影)【拡大】

  • 「島と人類」(足立陽著/集英社、1300円+税、提供写真)
  • 「なんでもない所をどう表現するかに、作家の蓄積した技術が試されると思う」と話す、作家の町田康さん=7月26日、東京都港区(瀧誠四郎撮影)

 【本の話をしよう】

 私は読み狂人。朝から晩まで読房に読居、読んで読んで読みまくりたる挙げ句、読みに狂ひて黄泉の兇刃に倒れたる者。

 その読み狂人たる私は、20年ほど前だったかなあ、その頃、読み狂人は既に読み狂人であったが、歌い狂人でもあり、歌いへの狂った思いが募って、相模の国の湖の近くに参り、歌を盤に録音したことがある。それによってより多くの人に自分の歌を聴いてもらいたいと思ってそんなことをしてしまったのである。

 さすがに狂人でやることが無茶だなあ、と我がことながら思うが、その際、おもしろきことがあった。「六尺八寸様」という題のエモーショナルな楽曲を録音していたときのことである。エモーショナルな楽曲なので奏者に要求されるのは技術よりも感情の高ぶりと心得、無我夢中で歌ったが、全員がそう思い過ぎたためだろうか、間合いがあわずに一度でオッケーとならず、二度、三度とテイクを重ね、四度目のテイクとなって前奏が始まったとき、ふと防音ガラスで隔てられた隣のブースを見ると、前奏を奏でるギター奏者が赤の裸であった。

国家、人類の意味に直結

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