脱「名作風に書く」の技法
それは言うように、国家と裸、複合観念と裸、その他、恥を除去しようとすればするほど恥が広がっていき、際限がない。したがってそれを厳密に考えると小説は極度に息苦しくなって読む楽しみがなくなるのだけれども、この小説では、そうした事態に対する哀感の伴う一種の、ヤタケタ技法、を用いることによってそれを乗り越えている。
その、ヤタケタ技法、とはなにか、というと、どんな作者でも持っている、名作と呼ばれ後世に残るような小説をものにしたい、と考え、たとえそれが無理だとしても、名作風、の小説にしたい、と考え、文章を飾り、名言や警句を随所に配置し、頭いい作者だと思わせるような印象操作をする、という創作態度を捨てている、すなわち、衣服を脱ぎ捨てる、という技法である。
というと、そんな簡単なこと誰でもできる、と言う人が必ず出てくるが、その困難とその必然的な結末を描いたのがこの小説で、おほほ、そのあたり、よく味わって読むとよろしかろう、と読み狂人は猿股脱ぎながら思うわよ。ルルル。(/SANKEI EXPRESS)