国家、人類の意味に直結
なーんてくだらない昔のことを思い出したのは、足立陽の『島と人類』を読んだからで、この小説は、なんの疑いもなく衣服を着用して暮らしている人間の、衣服を着ていることによって生じるこだわり・こわばりを衣服を脱ぐことによって解きほぐそうとすると、結び目はますます複雑になり、固くなる様を笑いの内に描いた小説であり、くのの、恥というものは雪(そそ)ぐことはできても除去することはできぬのだなあ、と読み狂人、思い知らされた。
けれども、この小説のおもしろきところ・よみどころは、それは勿論、人によって異なるのだろうけれども読み狂人やなんかは、右に申し上げた、脱ぐか脱がないか、という一刀両断というか、実にわかりやすく、簡単に思えることが、さて実際にやろうとすると、国家の存続とか人類が存在する意味とかに一瞬で直結し、忽(たちま)ちにしてそこいらに固く、複雑な結び目、こわばりが生じていくその様にあるように思った。