「snake_and_bird」(2012:カンバス、アクリル・顔料280.0×411.5、ヴァンジ彫刻庭園美術館蔵)。Courtesy_of_The_Vangi_Sculpture_Garden_Museum、岡野圭さん撮影、提供写真)。(C)Hiroshi_Sugito【拡大】
杉戸は、黄金比を前提にしながらも、それが人間の呼吸や徘徊(はいかい)によって少しずつずらされるような、実に魅力的な空間を発案した。展覧会の出口のところに飾られたピアノの鍵盤が見える一枚の小品が、その成功を、遠慮がちだが、誇らしげに示している。そこでピアノは機械ではなく、緩やかで柔らかな機械となり、まるで生き物のように時のなかで休息している。(多摩美術大学教授 椹木野衣(さわらぎ・のい)/SANKEI EXPRESS)
■さわらぎ・のい 1962年、埼玉県秩父市生まれ。同志社大学を経て美術批評家。著書に、「アウトサイダー・アート入門」(幻冬舎新書)、「後美術論」(美術出版社)、「日本・現代・美術」(新潮社)、「シミュレーショニズム」(ちくま学芸文庫)ほか多数。現在、多摩美術大学教授。
【ガイド】
■「杉戸洋展 天上の下地 prime and foundation」 7月26日まで、宮城県美術館(仙台市青葉区川内元支倉34の1)。月曜休館(ただし7月20日は開館、21日は休館)。一般1000円。(電)022・221・2111。