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子供心に覚悟した「死」の感覚 乾ルカ (3/5ページ)

2015.6.1 19:05

近所の田舎道。消失点が見えそうなこの道、昔は散歩でたまに歩きました=2015年5月24日、北海道札幌市(乾ルカさん撮影)

近所の田舎道。消失点が見えそうなこの道、昔は散歩でたまに歩きました=2015年5月24日、北海道札幌市(乾ルカさん撮影)【拡大】

  • 友だち犬のシュウちゃんと一緒にご満悦の乾家の愛犬・まる(左)が札幌の風景をご紹介。まるはシュウちゃんが大好きで、舎弟のように従っています。人間には従わないことがあるのに…!=2015年5月11日、北海道札幌市(乾ルカさん撮影)
  • 「死ぬかと思った」(林雄司(Webやぎの目)編/アスペクト、1000円+税、提供写真)
  • 【本の話をしよう】作家、乾ルカさん=2月15日(提供写真)

 私はドライブが好きでしたので、同乗しました。

 行きは問題ありませんでした。左に日本海を見ながら、青空のもと、片側一車線のうねる山道を車は進みました。道中、ちょっとした峠のような場所を通りました。頼りない金属ロープが張られた向こうは、冬枯れの木がまばらに生える断崖絶壁で、「ここから落ちたら死ぬかも」などとのんきに考えていました。

 姉を無事送り届けた帰り道、天候は急変しました。ホワイトアウトとはまさにあのこと。助手席から前方を見ても、1メートル先もわからない地吹雪、猛吹雪。車以外は全部白の世界です。そして行きにその峠道の断崖絶壁を目にしていることが、恐ろしさを倍増させました。絶対に道をそれてはいけない。けれども、頼りない金属ロープはおろか、雪に隠れて中央線も見えやしません。私は父に必死で車を停(と)めようと訴えました。けれども父は、非常にゆっくりとしたスピードながら、停まりはしませんでした。

 そのとき、子供心に覚悟しました。「崖から落ちて死ぬか、遭難して死ぬかどちらかだ」と。

危機体験とシモ関係

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