着物が好きで今回の舞台でも着る。プライベートでは「なかなか着る機会がなくて」と苦笑いする段田(だんた)安則さん=2015年5月18日、東京都世田谷区(長尾みなみ撮影)【拡大】
「『住みにくい世の中』とは誰もが感じること。漱石は、明治以降の物質現代文明を客観的に見ている。ただ何をどうと主張する作品ではないから観念的で難しい。最初の一節は有名でも、そこで読むのを挫折する方も多いかも」と笑う。
北村は原作から重い「うんちく」をそぎ落とし、遊び心も込めて日本情緒を醸しだし、軽やかに時代を牽引(けんいん)した漱石の姿を描く。その様子を浮かび上がらせるのがヒロインの温泉宿の女性、那美とのやり取りだ。北村は劇中に、那美のモデルとなった実在の女性、前田卓(つな)も登場させる。小泉が一人二役で演じる。
ヒロインと小泉だぶらせ
段田と小泉の共演は、舞台では初めて。画工にとって那美と卓は「ミューズ」のような存在で、ともに「美の本質とは何か」を思考する「同志」でもあり、恋愛とは違った心の通い合いが描かれる。
段田は、小泉の素顔とヒロインの姿をだぶらせる。「例えば『キョンキョン』は誰が見てもかわいくてきれい。ただ顔かたちがきれいなのではなく、何からそうなっているのかが感じられるような雰囲気というか。難解な『草枕』を読まなくても、原作のニュアンスは感じ取れるのでは」