ときに「おやじギャグ」で選手の緊張をほぐし、的確な采配で勝利を引き寄せる。2007年12月の監督就任以来、そんなスタイルでチームを手塩にかけてきた佐々木監督。好成績の背景にあるのは選手からの厚い信頼だ。全選手に目配りし、やる気を維持させる掌握術は今大会でも際立つ。
1次リーグ3試合では登録23選手全員をピッチに送り出した。「全員に同じ緊張感を持たせたかった」と指揮官。決勝トーナメント1回戦のオランダ戦でミスから失点したGK海堀を信頼し、準々決勝、準決勝でも起用し続け、自信を取り戻させた。練習では、選手の意見を積極的に採用。準々決勝のオーストラリア戦翌日には、控え選手中心の練習で、選手側から「実戦形式の練習がしたい」との声が出た。当初は軽めの内容を予定していたが、練習の中にミニゲームを加えた。「控え組のやる気をくんでメニューを変えた」と笑顔で説明した。
元日本代表FWで大阪学芸高コーチの大谷未央(おおたに・みお)さんは「選手を信頼する監督の姿勢に選手が奮起する、いい雰囲気。選手にいろんな意見がある中、練習や試合中に監督とやりとりできることは大きい」とみる。