初戦で骨折した安藤梢の代わりに、なでしこ快進撃を支えた白いクマは岩渕真奈(まな)に抱かれて決勝の会場を去った。決勝でチームに合流した本物の安藤は表彰式で銀メダルをかけられ、山根恵里奈に背負われて退場した=2015年7月5日、カナダ・ブリティッシュコロンビア州バンクーバー(岡田亮二撮影)【拡大】
カナダで開催されたサッカーの女子ワールドカップ(W杯)で、日本代表「なでしこジャパン」は準優勝に終わった。前回W杯に続く連覇はならなかった。
下馬評は高くなかった。チームの調子も上々とは言い難かった。それでも大会期間中に目を見張るほどチームは変身し、決勝までステージを進めたのは見事といえた。
だが、圧倒的な実力差があるならともかく、同等か劣勢をひっくり返して世界一となるためには、そのための理由がいる。プラスアルファが必要となる。前回のW杯優勝に導いたのは、東日本大震災の被災地、被災者に対する思いだった。
悲惨な故郷の現実をビデオで確認しながら、涙で心を一つにしての世界一だった。誰のために、何のために戦うか。これが明確なチームは強い。
今回の快進撃を支えたのは、背番号7番のユニホームを着た白いクマの縫いぐるみだった。初戦のスイス戦で決勝点となるPKを獲得した、そのプレーでFWの安藤梢(32)は左足首を骨折し、チームを離脱、帰国した。