初戦で骨折した安藤梢の代わりに、なでしこ快進撃を支えた白いクマは岩渕真奈(まな)に抱かれて決勝の会場を去った。決勝でチームに合流した本物の安藤は表彰式で銀メダルをかけられ、山根恵里奈に背負われて退場した=2015年7月5日、カナダ・ブリティッシュコロンビア州バンクーバー(岡田亮二撮影)【拡大】
試合中も試合後も、涙が止まらない岩清水を慰め続けたのは近賀(きんが)ゆかり(31)だった。5失点の責任にうなだれるGK海堀(かいほり)あゆみ(28)の頭をなで、励ましたのも近賀だった。
前回W杯では不動の右サイドバック。ほとんど同じ陣容で戦った今回のW杯では、澤と近賀の2人だけが先発を外れた。澤は交代の切り札となったが、近賀は有吉佐織(27)に定位置を奪われ、決勝トーナメントでは出番さえ失った。
ベンチでの近賀の存在感は絶大だった。ただ、いつまでもドイツW杯世代に頼るわけにはいかない。前回18歳でチーム最年少だった岩渕は、今回も22歳で最年少のままだった。
日本では澤、米国ではワンバックが「今回が最後のW杯」と公言した。世代交代に向けて「今がピークといわれないように」と口にした岩渕の決意を、ベンチや日本でゲームを見守った、すべての若い選手が共有しなくてはならない。(EX編集部/撮影:岡田亮二、AP、共同/SANKEI EXPRESS)