それはそれで、きついことですが。
地続きの異世界
『ゲイルズバーグの春を愛す』(ジャック・フィニイ著)を、今年の春前に読みました。有名な作品ですので、「いまさら?」「まだ読んでいなかったのか」と呆れられるかもしれませんが、未読でした。
2月に小説関係とはまた別の仕事でご一緒している方が、勧めてくれました。
今思うと、とてもタイムリーでした。
この『ゲイルズバーグの春を愛す』は、表題作を含む作品10編が収められた、短編集です。10編には共通する要素があります。それは『現実とは異なる世界の存在』です。おのおのの作品によって『異なる世界』は違う顔を見せます。作品によっては異世界とまでは言えないものもあるかもしれません。それでも一種の白昼夢的な非日常が描かれている。どんな形であれ、日常と非日常が接しているのです。ですので、ざっくりとジャンル区分をするならば、ファンタジーになるのでしょうか。とはいえ、極端に現実離れしてはいないので、ファンタジーに苦手意識のある方も、問題なく読めるかと思います。