現実がつらいのは当たり前、みんな頑張っているのだから逃避するなと、上から目線で説教するのではなく、上質な小説として楽しませながら、現実以外の世界に逃げ込みたくなる心もおうように受け止める、懐の深い作品集なのです。
家族が健康な時に
もしも現実を離れて別の世界へ行くことができたら、どことつながりたいか。『ゲイルズバーグの春を愛す』を読みながら、そんな妄想をしました。
やっぱり家族が全員そろって健康な世界に行きたいですね。なんなら1年前でもいいです。そのときは元気でいて、でも今はいない私の大事な人に、言えなかったことを言い、やれなかったことをしたい。我慢強すぎて、楽観的すぎたその人に、もっと早いタイミングで病院へ行けと伝えたい。