台風15号による強風で倒れたガソリンスタンドの洗車場の屋根。九州北部を縦断し各地に大きな被害をもたらした=2015年8月25日、熊本県天草市(共同)【拡大】
だが、実際には政府と自治体の人員が不足し、メディアもその人員と設備などの限界から、大災害が起きてからの情報の収集しかできず、住民に何が起きているかについてさえ、必要かつ十分な情報を伝えることができない。
重要なのは災害が起きる前に、災害に備える態勢作りと情報伝達についてのノウハウを官・民・メディアの3者が「共有知」とすることである。
私たちの日本社会は今、過去の災害から何を学び、どう生かしていけるかが問われている。私たちがこれまでに体験してこなかったような大規模な自然災害に襲われる可能性は否定できない。阪神大震災の際の高速道の倒壊や東日本大震災での福島第1原発事故などの失敗例と、東日本大震災で、岩手県釜石市の小中学校で全児童・生徒が日頃の訓練の成果で即座に避難し、生存率が99.8%に上った「釜石の奇跡」などの成功例について、真摯(しんし)に学ぶことが求められている。(同志社大学名誉教授 メディア・情報学者 渡辺武達(わたなべ・たけさと)/SANKEI EXPRESS)