4つの「潟」を主な会場に
「水と土の芸術祭」はどうか。同じ自然に根ざすと言っても、こちらはいくつかの点で対照的だ。新潟市は、平成の大合併を象徴する2005年の近隣自治体との統合を経て、07年には日本海側で初めての政令指定都市となった。もとより県庁所在地であり、県の中枢機能も集中している。人口も80万人を超え、十日町市・津南町を合わせても7000人にしかならない越後妻有とは比べ物にならない。
また、ひとことに「大地」「水と土」と言っても、両者の立てた主題は似て非なるものだ。越後妻有の「大地」は、文字通り豊かな自然が育んだ土に根ざし、そこで培われた長い農の歴史のうえにある。ところが「水と土の芸術祭」が「水と土」というとき、むしろ、厳しい自然と人との闘いのなかで培われた、労苦の知恵や土木の技術のことを指している。