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日本「研究遺産」の恩恵 先細り懸念 ノーベル賞 自然科学で受賞ラッシュ (3/5ページ)

2015.10.9 07:30

ノーベル文学賞の受賞者に選ばれたスベトラーナ・アレクシエービッチさん=2014年9月16日、ベラルーシ・首都ミンスク(AP)

ノーベル文学賞の受賞者に選ばれたスベトラーナ・アレクシエービッチさん=2014年9月16日、ベラルーシ・首都ミンスク(AP)【拡大】

  • 主要国の科学論文数=1990年~2013年

 今後は中国が追い上げ

 日本の受賞者は戦後、欧米に留学して最先端の知識を吸収し、成果を挙げた人が多い。しかし、最近の若手研究者は留学に尻込みする傾向が強いという。有本氏は「今後の育成で受賞者を生み出すのは難しいだろう。危機感すら覚える」と話す。

 一方、世界で存在感を増しているのは中国だ。90年代の論文数は日本の半数以下だったが、06年には日本を抜き驚異的なペースで増えている。「米国に大挙して留学生を送って最先端の科学を学ばせ、論文を大量生産している」(伊神氏)からだという。戦後の日本と同じ構図だ。

 東京工業大の調(しらべ)麻佐志准教授(科学技術社会論)は「あと10年くらいすると、中国にノーベル賞ラッシュが当然、来る。停滞している日本は厳しい」と話す。

 日本が科学力を高め、今後も受賞者を輩出するには、どうすればいいのか。有本氏は「短期間の成果志向の政策が一番の問題。帰国後のポストを確保して海外留学しやすくすることや、経済的に安定して研究に専念できる環境づくりが必要だ」と話している。

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