苦境でさえたのは指揮官の采配だった。直感に基づいて初出場させたWTB藤田はボールを追って見せ場をつくり、トライも挙げた。ナンバー8のホラニは持ち前の好タックルで要所を締め、途中出場のマフィもトライを決めた。世界的名将の期待に、それぞれが応えた。
激情家でもあるジョーンズHCの就任以降、ときには理不尽に怒られながら、選手は猛練習を耐え抜いてきた。プロップ畠山は「思い返すとつらいことばかり。それでも4年間頑張ってきた」と目を真っ赤にした。最後の指揮を終えたジョーンズHCは「彼らはヒーロー。日本のラグビーを変えた。きょうは私ではなく、選手の日」と、優しい言葉で奮闘をたたえた。
≪存在感誇示も「心は曇り空」≫
五郎丸の目に自然と涙があふれ出た。「マン・オブ・ザ・マッチ(最優秀選手)」に選ばれた米国戦後、何度も言葉に詰まった。右足に期待を託され続けた背番号15は、勝っても準々決勝に進めない現実に「悔しさの方が大きい」と漏らした。