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戦後70年で実現 事実上の「戦争画展」 「MOMAT コレクション 特集:藤田嗣治、全所蔵作品展示。」 (2/5ページ)

2015.10.26 10:30

《アッツ島玉砕》1943年_東京国立近代美術館(無期限貸与)。油彩・キャンバス193.5×259.5cm(提供写真)。(C)Fondation_Foujita/ADAGP,Paris_&_JASPAR,Tokyo,2015_G0190

《アッツ島玉砕》1943年_東京国立近代美術館(無期限貸与)。油彩・キャンバス193.5×259.5cm(提供写真)。(C)Fondation_Foujita/ADAGP,Paris_&_JASPAR,Tokyo,2015_G0190【拡大】

  • 展示風景=2015年10月13日(大谷一郎さん撮影、提供写真)

 軍部が植民地支配を強行した周辺諸国への配慮や、行き過ぎた国粋主義を再び刺激しないためといった理由も囁(ささや)かれたが、それにしても、そのツケはあまりにも大きかった。それがようやく、こうして一堂に会して目の当たりにできるのである。専門家ならずとも、必見の展示であることは言うまでもない。

 もっとも、作戦記録画を一括公開することはしないという館による方針は、いまも変わっていない。だから、今回まとめて見ることができるのも、藤田嗣治が描いたものに限られてはいる。けれども、藤田は戦中に国内の画壇を束ねた陸軍美術協会の会長を務め、誰よりも作戦記録画の制作に心血を注いだ。そのうち近代美術館が所蔵する作戦記録画が全点、展示されるのである。

 これは2006年に藤田の生誕120年を記念し、全国を巡回(東京国立近代美術館、京都国立近代美術館、広島県立美術館)した大規模回顧展でも実現されていない。ところが、「藤田嗣治、全所蔵作品展示。」と謳(うた)ってコレクション展を開けば、わざわざ戦争画展などとは言わずとも、おのずと14点の作戦記録画が壁にかかることになる。これは近代美術館が所蔵する藤田作品全25点のうち、実に6割がたを占めている。

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