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戦後70年で実現 事実上の「戦争画展」 「MOMAT コレクション 特集:藤田嗣治、全所蔵作品展示。」 (4/5ページ)

2015.10.26 10:30

《アッツ島玉砕》1943年_東京国立近代美術館(無期限貸与)。油彩・キャンバス193.5×259.5cm(提供写真)。(C)Fondation_Foujita/ADAGP,Paris_&_JASPAR,Tokyo,2015_G0190

《アッツ島玉砕》1943年_東京国立近代美術館(無期限貸与)。油彩・キャンバス193.5×259.5cm(提供写真)。(C)Fondation_Foujita/ADAGP,Paris_&_JASPAR,Tokyo,2015_G0190【拡大】

  • 展示風景=2015年10月13日(大谷一郎さん撮影、提供写真)

 けれども、どうだろう。こうして作戦記録画はもちろん、パリ時代の裸婦像から、作戦記録画に着手する直前に描かれた猫の絵、さらに敗戦後に手がけた、動物を人に見立てた一種の寓話(ぐうわ)図などを同じ展覧会のなかで見ていると、藤田は日和見であるどころか、一貫して同じ主題を追求していたと感じられてくる。それはなにか。

 人間の業描き続けた

 まず、全体を支配している色調の統一感である。たしかに藤田は、その時々に身を置いた異質な環境に応じ、描く対象を随時、変えてはいる。しかしそこには、必ず褐色へと向かう強い志向が見て取れる。パリ時代の藤田といえば「乳白色」というのが代名詞であったわけだが、あの泥と土にまみれた作戦記録画のあとにもう一度見てみると、チョコレート色と呼ぶと言いすぎかもしれないが、全体に、飲みもので言えばミルクというよりもカフェオレに近い、やわらかい色味が芯となっているのがよくわかる。また、肝心の作戦記録画にしても、阿修羅と化した鬼気迫る人物像というよりも、そのような突出した個人が消え、一様に伏して倒れ、やがて同化する土くれの塊を描いているようにさえ感じられる。

兵士に託して描き続けた画家

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