《アッツ島玉砕》1943年_東京国立近代美術館(無期限貸与)。油彩・キャンバス193.5×259.5cm(提供写真)。(C)Fondation_Foujita/ADAGP,Paris_&_JASPAR,Tokyo,2015_G0190【拡大】
こうして見てきたとき、藤田には、「乳白色の下地」という一時代を画した代名詞よりも、生涯を通じて、いつか等しく土くれとなる人間の業や宿命を、裸婦や猫、そして兵士に託して描き続けた画家、というのがふさわしいように思えてならない。(多摩美術大学教授 椹木野衣(さわらぎ・のい)/SANKEI EXPRESS)
■さわらぎ・のい 同志社大を経て美術批評家。著書に、「日本美術全集19 拡張する戦後美術」(責任編集、小学館)、「戦争画とニッポン」(会田誠共著、講談社)、「アウトサイダー・アート入門」(幻冬舎新書)、「後美術論」(美術出版社)、「日本・現代・美術」(新潮社)、「シミュレーショニズム」(ちくま学芸文庫)ほか。多摩美術大学教授。
【ガイド】
■「MOMAT コレクション 特集:藤田嗣治、全所蔵作品展示。」 12月13日まで、東京国立近代美術館(東京都千代田区北の丸公園3)。一般430円。(電)03・3214・2561。