「俳優の仕事とは、自分の持てるものすべてを役に投影するものです。しかし、今回の役どころでは、主人公は病魔に侵されたことにより、体を動かせなくなるばかりか、声も出せなくなってしまいます。投影すること自体が封じられてしまっていたわけですから、もちろん役作りは大きな挑戦となりました。とはいうものの、そんな登場人物を理解し、深く掘り下げていくことは、演じるという職業を深めていく助けにもなりました。実際、私がALSを発症したら、こんな気持ちになるのかもしれない…。心に湧いてくるさまざまな感情を体験することができたわけですからね」
《ケイト(スワンク)が体に異変を感じたのは、35歳の誕生日パーティーでピアノを弾いたときだった。医師の診断は「ALS」。1年半後には車椅子生活となってしまうという。友達に対して明るく振る舞うことにも疲れ果ててきたある日、ケイトは弁護士の夫、エヴァン(ジョシュ・デュアメル)の反対を押し切って、友達として自分の話を聞いてくれそうな大学生、ベック(エミー・ロッサム)を介護人として雇った。しかし、言葉遣いも、料理の仕方も、まるでなっていないベックに対し、完璧主義の教養人、ケイトは不満を募らせ…》