そのかたわらで続けていたのが「顔」のシリーズだ。発表を目的にしないで描かれたものが多く、「顔」の作品は約500点に及ぶ。一方で、太陽の塔にも顔があるように、岡本も多くの顔を描いた。中村の「顔」が自分の死を見つめながら対話を続けた自画像だとすれば、岡本の顔は世界や社会にメッセージを送るための「仮面」に見える。2人の「顔」を比べてみるのも、展覧会の見どころの一つとなっている。(原圭介/SANKEI EXPRESS)
【ガイド】
■「岡本太郎と中村正義『東京展』」 来年1月11日まで、川崎市岡本太郎美術館(川崎市多摩区枡形7の1の5)。一般900円。(電)044・900・9898。