賠償額のうち4000万円が慰謝料で、弁護団は「同種の事案と比べると高額で、懲罰的な意味合いが込められている」としている。
この日の和解協議には渡辺参院議員も出席し「責任は私にある。森さんを追い詰める結果になったことを悔いている」と両親に謝罪したという。
訴状によると、森さんは08年4月、ワタミフードサービス(現ワタミ)に入社し、神奈川県内の店舗に配属された。休日がほとんどないまま午後から早朝にかけて長時間勤務が続き、08年6月に自殺した。残業は月140時間以上で、過労が原因で適応障害を発症していたとして、12年に労災と認定された。
≪後絶たぬ「ブラック」 再発防止へ法整備課題≫
ワタミの過労自殺訴訟は、提訴から2年を経て和解が成立した。過酷な労働が若者らの心身をむしばみ、死にまで追いやる実態は深刻だ。政府も対策に乗り出したが効果は未知数。「ブラック企業」という言葉が広まるきっかけとなった象徴的訴訟の終結を受け、支援者は「過重労働が減らない社会の教訓にすべきだ」と訴える。