過労自殺訴訟の和解を受けた記者会見で、うつむく自殺した森美菜さんの母、祐子さん(左)と父、豪さん=2015年12月8日午後、厚労省(共同)【拡大】
ただ効果は未知数だ。厚労省の集計では14年度に労災認定された過労死は121件で、ここ数年はほぼ横ばい。未遂を含む過労自殺は99件で、過去最多となった。労災申請していないケースもあるとみられ、より多い可能性がある。
政府方針に不信感
一方、政府が先の国会に提出し、継続審議となった労働基準法改正案は労働時間規制を緩める内容で、「過労死が増える」との批判が噴出している。ポイントは(1)時間外や深夜・休日の割増賃金が支払われない高度プロフェッショナル制度の新設(2)あらかじめ定めたみなし労働時間を超えて働いても残業代が出ない裁量労働制の対象業務の拡大-の2点だ。
このため労働者側からは「定額働かせ放題」「会社に求められれば長時間労働を避けられない」との声が出ている。
過労死問題を研究してきた関西大の森岡孝二名誉教授も「今ある労働規制の根本を大きく崩しかねない改革案だ」と指摘し「過労を防ぐ対策を急ぐべきだ」と訴えた。(SANKEI EXPRESS)