過労自殺訴訟の和解を受けた記者会見で、うつむく自殺した森美菜さんの母、祐子さん(左)と父、豪さん=2015年12月8日午後、厚労省(共同)【拡大】
「約束を守って」
「和解条項の約束を守ってほしい。過労で苦しんでいる人たちに良い影響が出ることを強く望む」。2008年に自殺した森美菜さんの父、豪さん(67)は8日の和解成立後の記者会見で、声を振り絞るように語った。
森さんは08年4月に入社して居酒屋に配属となり、長時間の深夜勤務が重なった上、休日も研修などで十分な休養が取れずに心身を疲弊させた。自殺は入社から約2カ月後のことだった。
過労をめぐる訴訟は後を絶たない。広告デザインなどを手掛ける会社で働いていた30代男性は、従業員が減って仕事量が増加。ひどいときは1年間休みなく働き、会社の机に突っ伏して寝ることも。「考える時間もなく、精神的におかしくなってしまった」。適応障害と診断され、会社に損害賠償を求めて提訴した。