教会をあとにし、道幅1メートルほどの「トウヤ」と呼ばれる海へ続く路地を進む。羊角湾に出た。過去に激しい弾圧があったのが嘘のような、穏やかな海だ。地元の人なのだろう、海に突き出た小さな木の桟橋(カケ)の上で老人が2人、のんびりと釣り糸を垂れている。
「ご覧のように静かな集落ですが、来年のいまごろは観光客がどっと増えているかもしれませんね」
森田さんは崎津が2016年の世界遺産候補になっていることを口にし、複雑そうな心境を表情ににじませた。(文:航空ジャーナリスト、作家 秋本俊二/撮影:フォトグラファー 倉谷清文/SANKEI EXPRESS)