関西電力高浜原発の(手前から)3号機、4号機=2014年11月、福井県大飯郡高浜町(共同)【拡大】
規制委の審査をクリアした高浜は、稼働前の最終段階となる使用前検査を受けていたが、裁判結果を待つため、検査は全てストップしていた。仮処分決定の取り消しを受けた住民側は高裁に不服を申し立てる方針を明らかにしたが、高裁が決定を覆さない限り、当面は再稼働への影響はない。
4月の運転差し止めの仮処分は、原発の運転禁止を命じた全国で初めてのケースだ。裁判長は樋口英明判事(現・名古屋家裁)で、決定内容の間違いは明らかだった。水を蒸気にしタービンを回して発電するための「主給水ポンプ」について、樋口氏は「破損すれば、炉心損傷に至る危険がある」と誤認、原発の仕組みを理解していなかった。重大事故の対応基地としての設備が備えられているにもかかわらず、「設置が必要である」とも指摘した。
規制委が作成した新基準に対して、樋口氏は「これに適合しても原発の安全性は確保されていない」と断定した。これに対し、規制委の田中俊一委員長が「絶対安全を求めると、結局は安全神話に陥るという反省から規制をしている。その趣旨が理解してもらえず遺憾だ」と述べ、司法に対し異例の反論を試みていた。