1月4日、イランの首都テヘランで、サウジアラビアがイスラム教シーア派の高位聖職者ニムル師を処刑したことに抗議する聖職者ら=2016年(AP)【拡大】
アーネスト米大統領報道官は4日の記者会見で、イスラム教シーア派の指導者ニムル師を処刑し、対立の引き金を引いたスンニ派の大国サウジへの不満を隠さなかった。米政府高官が同盟関係にあるサウジを批判するのは異例だ。
サウジとシーア派の大国イランの対立は、オバマ政権の中東戦略を揺るがし「米国益に打撃を与える」(アーネスト氏)。特に懸念するのは、緒に就いたばかりのシリア和平交渉への影響だ。
大規模な米軍地上部隊を派遣しないとのオバマ氏の公約は、ISの台頭を招いたシリアの内戦終結が前提。反体制派の後ろ盾であるサウジと、アサド政権を支援するイランが席を立てば交渉は振り出しに戻る。
今回の対立は、オバマ政権がサウジを中心とするスンニ派諸国の反対を押さえ込み、イランとの間で核開発阻止への合意をまとめたことが伏線となっている。
サウジはイランが核開発を諦めていないと警戒。ニムル師の処刑は、米国とイランの接近を牽制(けんせい)する狙いがあったとの見方も強い。
しかし、イラン核合意の履行こそが、中東の安定をもたらすというのがオバマ政権の立場だ。米国ではシェールオイルの生産が軌道に乗り、エネルギー政策上もサウジの重要性は低下。