大気汚染に煙る北京の高層ビル群。不動産市況の低迷も中国の経済成長の先行きを不透明にしている=2016年1月19日、中国・首都北京市(ロイター)【拡大】
中国国家統計局は19日、物価変動の影響を除いた実質で2015年の国内総生産(GDP)が前年に比べ6.9%伸びたと発表した。1989年の天安門事件の影響で4%を割り込んだ90年以来、25年ぶりの低い伸び率で、政府目標の7.0%前後の中心値には届かなかった。製造業が牽引(けんいん)した「世界の工場」から個人消費が中心の「世界の市場」への構造転換が遅れており、成長鈍化が鮮明になった。
2014年の7.3%に比べ成長率は0.4ポイント鈍った。また、四半期ベースの成長率は15年10~12月期が前年同期比6.8%となり、4~6月期の7.0%、7~9月期の6.9%から、成長の鈍化が続いている。
19日、記者会見した国家統計局の王保安局長は、「不動産と株式の市況低迷が昨年の経済成長に影響を与えた」と述べた。
人件費高騰のあおりで製造業の国際競争力が低下。15年は貿易総額が前年比8.0%減とリーマン・ショックの影響を受けた09年以来、6年ぶりに前年水準を下回った。