大気汚染に煙る北京の高層ビル群。不動産市況の低迷も中国の経済成長の先行きを不透明にしている=2016年1月19日、中国・首都北京市(ロイター)【拡大】
中国政府は個人消費の拡大を新たな成長エンジンに育成する方針。ただ、同時発表された消費動向を示す社会消費品小売総額は15年が10.7%増と、14年の12%増に比べて伸び悩んだ。(上海 河崎真澄/SANKEI EXPRESS)
≪「春節は肉買えない」 深刻な地方製造業不振≫
2015年の中国の実質経済成長率が6.9%と、1990年以来25年ぶりの低水準に落ち込んだ。中国経済は過去の高成長を演出した投資ブームが過ぎ去り、深刻な「後遺症」に苦しむ。安定成長に向けた経済構造改革の道は険しく、社会不安が増大する恐れもはらむ。リーマン・ショック後、世界経済を牽引してきた中国が一転、危機の火種となる懸念が強まってきた。
中国有数の鉄鋼の町、河北省唐山市。40年以上の歴史を持つ大手製鉄所「唐山松汀鋼鉄」が昨年11月、全面的に生産を停止した。数千人の従業員は全員「休暇」扱いとなった。
ある男性従業員は「生産停止前の7カ月分の給料が未払いのままだ。もうすぐ春節(旧正月)だが肉を買う金もない」と途方に暮れる。