大気汚染に煙る北京の高層ビル群。不動産市況の低迷も中国の経済成長の先行きを不透明にしている=2016年1月19日、中国・首都北京市(ロイター)【拡大】
「覚悟を決めて、劣った生産設備を淘汰し、過剰生産能力を解消する」。李克強首相は今年最初の視察地として、石炭産業が集積する山西省を訪問。地方政府の支援で生き延びている経営不振の「ゾンビ企業」を整理するよう号令をかけた。
首相の決意を本気とみた各地方政府は、地元の炭鉱や製鉄所への補助金を打ち切ると次々に表明し始めた。だが、経営不振企業の整理を進めれば、銀行の不良債権が増大し、失業者が増えるのは確実だ。
中国経済減速の影響は海外に広く波及。18日にはオーストラリアのニッケル精錬企業「クイーンズランドニッケル」が経営破綻した。中国の需要減少でニッケル市況が大幅に悪化したためだ。
かつては新興5カ国(BRICS)の一角ともてはやされたブラジルは鉄鉱石など資源価格の下落が直撃し、マイナス成長に沈んだ。川崎重工業は14日、ブラジルの資源開発プロジェクトが滞っている影響で、造船関連事業で221億円の損失を計上すると発表した。
「市場は過剰反応だ」「6%台の成長は十分に大きい」。中国経済の減速が世界経済に影を落とし、年明け以降、市場の混乱が続いていることに日本の有力企業トップからこんな発言が相次いでいる。