記憶を辿るこの小道を行けば、少年時代の思い出がやってくる。なんてことを思わせてくれる尾道の裏道=2014年12月29日、広島県尾道市(長塚圭史さん撮影)【拡大】
天井の木目と土壁も
それよりも何よりも私を悩ませたのは、思い込みの王道、天井の木目と土壁であった。昼間はただ天井と壁なのに、どうして夜中に眠れなくなると、ああして蠢いて、目玉のようにこちらを睨みつけてくるのか。これは「安全地帯」よりもずうっと前から続いていて、夜中ふと視線がそちらへ行くと、しまった、と思わず声を上げそうになるほどに恐ろしかった。最初は見えない。しかし段々と浮かび上がってくるのだ。この浮かび上がってくるところが怖い。少年の私が脳内で造形しているのだけれど、そんな冷静な判断は下せないわけで、ポスターと違って、外せと懇願するわけにもいかない(「安全地帯」は外してもらった)。