日立製作所の担当役員、中畑英信常務(左)に要求書を手渡す日立労組の坂本達哉委員長=2016年2月18日、東京都千代田区(荻窪佳撮影)【拡大】
日立の中畑英信執行役常務は18日、「世界同時株安や円高など先行きの不安が増している。賃上げは慎重に考えないといけない」と牽制(けんせい)した。
15年は自動車や電機の多くが高いベアを実現したが、今年は業績で明暗が分かれる。トヨタ自動車が16年3月期連結決算で過去最高の最終利益を見込むなど自動車は好調を維持するが、中国景気の減速などの影響で日立やパナソニックは業績を下方修正した。
2年ごとにまとめて交渉する鉄鋼は前回に当たる14年の3500円を上回る要求を提出したが、新日鉄住金など鉄鋼各社は世界的な鋼材価格の下落に苦しんでおり経営側は賃上げに慎重だ。
電機各社の労組は統一闘争を掲げるが、経営不振のシャープや東芝は離脱する見通しだ。
≪遠のく賃上げ 市場急変で慎重姿勢≫
2016年春闘は、大手製造業でベアをめぐる攻防が本格化した。市場急変や景気指標の悪化といった逆風で労使とも慎重な姿勢が目立つ。経済全体の底上げに向けた中小企業との「格差是正」の道筋も見通せない。賃上げがかすめば、景気が失速する恐れもあり、デフレ脱却を目指す政府・日銀は正念場を迎える。