日立製作所の担当役員、中畑英信常務(左)に要求書を手渡す日立労組の坂本達哉委員長=2016年2月18日、東京都千代田区(荻窪佳撮影)【拡大】
前年の半額
「賃上げができないとデフレに入るのではないか。そのくらいの問題だ」。連合の神津里季生(りきお)会長は18日の記者会見でこう強調した。経営側は「資源国などのリスクが顕在化し、不安定感が増している」(日立製作所の中畑英信執行役常務)と守りを固める。
年明け以降、日本は株価暴落と急激な円高に見舞われ、労使交渉を取り巻くムードは14、15年とは一変した。自動車や電機など主要労組は、要求額を前年の半額となる3000円にとどめ、日本商工会議所の三村明夫会頭が「抑えた要求だった」と指摘したほどだ。
要求が低水準になった背景には、根拠となる物価上昇率が昨年ほどではなかったことがある。大手企業に比べて中小企業の賃上げが遅れている事情にも配慮した。
自動車総連の相原康伸会長は「結集する組合が同じ土俵で相撲を取ることを心掛けた」と説明するが、ある大手労組幹部からは「戦略が裏目に出て業界全体のベア水準の単なる低下につながる恐れがある」との声も出ている。