アコードHVの運転席の各種操作ボタンなど【拡大】
このため、ホンダの技術陣は社外の会議室を借りた上、停電を免れたカラオケ店のパーティールームなども活用して開発を継続した。パーティールームの大型モニターにパソコンをつなぎ、カラオケルームで議論を重ねた当時を、島田研究員は「ホンダらしく土壇場を乗り切った」と振り返る。
だが、その後もなお開発チームの苦闘は続いた。
「アコードHVにはたくさんの新技術が詰まっている。開発段階では、それぞれの部分では出ていた性能が、一つの車に組み立てた段階では出なくなるということがよくあった。各部分の交通整理が難しかった」(二宮主任研究員)という。
テスト走行で走行中に試作車が止まってしまったときは「あまりにも目標値が高すぎたかなと思うこともあった」(島田研究員)が、妥協することなく開発を続けた。開発陣が当初掲げた目標をほとんどの項目で達成した。
「技術開発は努力した分が成果に反映する。頑張れば頑張るだけ数字は上がっていく。部門ごとに高い目標値を掲げ、それを達成し続けたからこそ、アコードHVの高い性能を実現できた」(二宮主任研究員)。