もともと、国立競技場は老朽化していた。建て替えないといけないということは、だれもが分かっていた。もう10年も前に、建て替えはみんなの関心事だった。でも、なかなかお金もかかるし、文科省はお金もないし、きっかけがつかめなかった。財務省もできるだけお金をかけたくないということだしね。つまり、国立競技場の建て替えは、ラグビーのワールドカップや五輪の招致がきっかけになって政府は重い腰を上げた。レガシー(遺産)としての残るもの、すばらしい聖地をつくらなければならない。もう一つ、収容人数を8万人に一番こだわったのはサッカー協会だ。サッカーのワールドカップを誘致するには、8万人というのがが約束事だ。そうした希望を受け入れたものをつくるのがスポーツファンのためにもなるだろうということで、新国立競技場の計画はできた。
日本のこの全体の計画でいっても、当初のものよりも3倍くらいお金はかかっているから、最終的に日本も2兆円を超すようなことになるかもしれない。五輪の経費は大変なお金がかかるものだということはご承知だと思うが、そういうこともあえて申し上げておく」